不動産賃貸契約で失敗しないポイント

house 「不動産賃貸契約を締結する際に失敗しないための判断基準が分からない・・・」
「建物賃貸借契約を終了したいのだけれど・・・」
「土地賃貸借契約を更新したいのだけれど・・・」

不動産賃貸契約で失敗しないポイントとして下記5点をあげることができます。

  1. 建物賃貸借契約の更新
  2. 土地賃貸借契約の更新
  3. 敷金の返還
  4. 解約申し入れとは
  5. 契約期間の途中での賃料の値上げ・値下げ

 以下には、不動産賃貸契約で失敗しないポイント5点の詳細を掲載しています。
 個別の契約書については、弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

(1)建物賃貸借契約の更新

 建物賃貸借契約の期間が満了した場合、その契約を更新するか否かが問題となります。更新には、当事者の合意に基づいて更新される更新と当事者の合意に基づかない法定更新があります。

1)合意更新

 建物賃貸借を合意で更新した場合は、契約期間は最長で20年であり、1年未満の期間を定めた場合は期間を定めなかったものと見なされます。契約期間を定めなかった場合やそのように見なされた場合は、解約申し入れの対象となってしまいます。

2)法定更新

 当事者が期間満了の1年前から6か月前までに更新拒絶の意思表示をしなかった場合、または契約条件を変更しなければ更新しないという旨の通知をしなかった場合は、従前と同じ内容で契約を更新したものとみなされます。また、貸主から更新拒絶の通知がなされた場合であっても、借主が借家の使用を続けているのに、貸主が遅滞なく異議を述べなかった場合も同様です。

 これらの場合は、期間の定めがないものとされ、解約申し入れの対象となります。
 なお、貸主の更新拒絶の通知には正当事由が必要とされます。正当事由は以下の事情を総合判断してその有無が判断されます。ケースバイケースですが、正当事由が肯定される方向の事情が弱い場合は、高額の立退き料を支払うことで正当事由が認められやすくなります。

ア 正当事由が肯定される方向の事情

  1. 賃貸人自身の使用の必要性があること
  2. 建物が老朽化しており、取壊しや建替えの必要性があること
  3. 賃貸借契約成立時の事情、その後の事情
  4. 立退き料の提供

イ 正当事由が否定される方向の事情

  1. 借家人自身、または転借人の使用の必要性があること
  2. 賃貸借契約成立時の事情、その後の事情

(2)土地賃貸借契約の更新

 建物賃貸借と同様、合意更新と、法定更新があります。

1)合意更新

 契約期間は当事者が定めなかった場合で借地借家法が適用される場合は、初回の更新ならば20年、2回目以降の更新ならば10年です。また、借地法が適用される場合は、堅固建物(石造り、土造り、煉瓦造りなど)の場合は30年、非堅固建物については20年です。当事者間で20年より長い賃貸期間を定めることも可能です。

2)法定更新

 借主が貸主に対し更新を請求し、建物が存在する場合は、貸主が遅滞なく異議を述べない限り従前と同じ内容で契約が更新されます。また、借主が更新を請求しなくとも借主が土地の使用を継続し建物が存在する場合は、貸主が遅滞なく異議を述べない限り、やはり従前と同じ内容で契約が更新されます。また、貸主の異議には正当事由がなければ認められません。

3)敷金の返還

 敷金とは、不動産特に建物賃貸借の際、賃料その他賃貸借契約上の債務を担保する目的で賃借人が賃貸人に交付する停止条件付返還債務を伴う金銭のことを言います。賃借人が賃貸人に賃料を支払わなかったり、建物の原状回復が必要となり賃借人がこれを負担する場合に、賃借人の負担額が差し引かれて、建物明け渡し時に返還されます。

 建物の賃貸借においては契約で原状回復は賃借人の負担とされているのが一般的です。どんなにきれいに使ったとしても、ルームクリーニング代金は負担させられることもあり、敷金全額が戻ってこないことが多いです。ただ、返還金額が不当に低い場合は争うべきです。

4)解約申し入れとは

 建物賃貸借で、期間の定めがない場合または定めがないと見なされる場合は、当事者は双方とも申し入れによっていつでも建物賃貸借契約を終了させることができます。このことを「解約申し入れ」と言います。ただし、貸主の側から解約申し入れをする場合には、正当事由が必要とされており、しかも賃貸借契約が終了するのは解約申し入れの日から6か月後です。こちらの正当事由の内容については、土地賃貸借の更新拒絶と同様です。

5)契約期間の途中での賃料の値上げ・値下げ

 契約で定めた以上、賃料を契約の途中で一方的に値上げ・値下げできないのが原則です。
 ただし、当事者で合意した場合は契約内容を変更できます。また、裁判により賃料の値上げ・値下げをすることができる場合があります。
 裁判で賃料を変更する場合、いきなり訴訟を提起することはできず、まずは調停を申し立てる必要があります(調停前置主義)。調停で不調となった場合に,訴訟を提起します。
 裁判になった場合、以下の事情を総合判断して賃料を値上げ・値下げするかを判断します。

  1. 土地もしくは建物に対する租税その他の負担の増減
  2. 土地もしくは建物の価格の上昇もしくは低下その他の経済事情の変動
  3. 近傍同種の建物の借賃の比較
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